小説の出だしというのは、どうしてカッコいいのだろう。構成法の本を読んでいたら、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という川端康成くんの文例が出てきた。書籍が違ったとしても出てくるのは、評価があまりにも高いからではないかと思う。
「うわ~」という歓声が上越新幹線の車内から湧きあがったことを思い出した。年末年始に所要があって新潟へ向かったのだが、車内はスキー客らが7割弱を占めている。東京からしばらくはいつもの風景だが、トンネルを抜けて新潟へ入ったら一面の雪、雪、雪。歓声も湧きあがる。こちらも少し驚いたが、なるほどこういうことかと妙に納得したのだ。
夏へ向かおうとしている今の時期、雪の話をしたっていいじゃないか。文学関連の解説書を読んでいれば、登場人物の感情だけでなく、季節のイメージを湧きたてる表現事例が出てくるのは当然だ。作家が頭を悩ますものの一つに、季節感もあると妙に納得する。
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